この記事について
(2016年7月22日作成)
この記事は,実際に登った山の登山道に出てくる地質について述べたものです.
地『質」学の基本は,露頭からできるだけ詳細な情報を得ることです.物「質」から得られた情報を整理・分析し組み立て,どのようにしてできたのかを明らかにするるのが地質学だと考えます.ですから,一つ一つの露頭をじっくりと見ることが大事です.
そのようにして得られた知識は,論文や報告書として公表され蓄積されてきています.
北海道の場合,ほとんどの地域で5万分の1地質図幅と説明書が作られています.
北海道の地質についての最新の研究成果は,例えば「日本地方地質誌1 北海度地方」(日本地質学会編集,2010年,朝倉書店)にまとめられています.また,産業技術総合研究所地質調査センターの「地質図Navi」はシームレス地質図を提供しています.
ここの記事では,このような資料を参考にしながら,北海道の山の登山道で見られる露頭について紹介しています.
高山植物や湿地植物に関する本は多く出されていますが,登山道で見られる地質や露頭について解説したものはほとんど見かけません.この記事が,山に登りながら地質に興味を持つきっかけとなれば幸いです.
夏山の登山ガイドとしては,「梅沢 俊,菅原靖彦,北海道夏山ガイド・シリーズ」(北海道新聞社)があります.この本は,登山道のある北海道の山をすべて網羅していて大変使いやすい内容となっています.
この記事を書くに当たって参考にした図書などのうち,基本的なものを以下に示します.
参考にした基本図書など
- NHK北海道本部編,1975,北海道地名誌.北海教育評論社.
*更級源三氏がNHK北海道本部の部内資料として現地を訪問して集めた素材をもとに編集した本です.
- 梅沢 俊・菅原靖彦,北海道夏山ガイド・シリーズ 1〜6.北海道新聞社.
*北海道の登山道のある山について登山口への行き方から始まって,登山道での注意すべき所などを詳しく書いた本です.非常に使いやすく便利な本です.
- 産総研地質調査総合センター,地質図Navi.
( https://gbank.gsj.jp/geonavi/ )
*日本全国の地質を統一的(シームレス)に表示した地質図です.既存の5万分の1地質図なども見ることができます.また,同センターのHPから「地質図カタログ>陸域の地質図>5万分の1地質図幅」で地質図とその説明書を見ることができます.
- 徳久珠雄・石井光造・武内 正 編集,2004,三省堂 日本山名事典.三省堂.
*日本全国の山名の読み方,概略の場所の説明と緯度・経度,場合によっては簡単な解説の付いた事典です.
- 日本地質学会 編,2004,地質学用語集−和英・英和−.共立出版.
*地質学の事典としては,「地学団体研究会 編集,1996,新版 地学事典」(平凡社)がありますが,これに載っていない用語については,この本で確かめるのが良いです.ただし,用語集なので,意味は書かれていません.
- 日本地質学会 編集,2010,日本地方地質誌 1 北海道地方.朝倉書店.
*すでに出版から6年が経ちますが,最新の地質情報を網羅的に知ることができる本です.
- 山田秀三,2000,北海道の地名−アイヌ語地名の研究 別巻.草風館.
*山田氏は,四巻からなる「アイヌ語地名の研究」を執筆しています.