再生砕石中にアスベストが含まれていることが分かった.
工場や住宅の屋根に使われてきたスレート瓦や外壁・間仕切りなどに使われてきたスレート材は,アスベストを混ぜることによって耐火性,耐靱性を強めている.このスレート材が再生砕石として利用されている.
「見過ごせない問題だ」とする専門家もいれば,「中皮腫の発症リスクは無視できる」とする専門家もいる.
いずれにしても,実態を把握することがまず求められる.
スレート材を含む建設廃材は,解体時に分別されずに再生砕石に利用されているのが実態だという.上の東京新聞の25面には同社の記者が再生砕石の調査に同行した記事が載っている.その中では,配管の接合部に使うパッキンのような破片が見つかり,アスベストの含有率は80-90%であったと書かれている.
このような実態を見ると,全国的にかなりのアスベストを含んだ再生砕石が使われていると見なければならないようである.
スレート材がセメント製品であるので,駐車場などに敷かれて野ざらしになっている場合は,雨により中性化してセメントは分解する.この場合でも,海外の事例を参考にすると中皮腫の発症リスクは無視できるとされている(森永謙二医師:中央環境審議会 石綿健康被害判定小委員会委員長を務めた<東京新聞2010年8月18日朝刊より>).
しかし,日本のように人口密集地でアスベストを含む砕石が利用されている状況が本当に大丈夫なのか,早急に検討する必要がある.
さらに,解体業者が,スレートにアスベストが含まれているとは知らなかったと述べているという.このような実態では解体に従事した労働者が発症する可能性は否定できないだろう.
なお,アスベストの一般的知識については,「石綿(アスベスト)と建設工事」 を参照して下さい.