北陸新幹線・柿原トンネルの切羽崩壊

 (2017年9月12日作成・同13日追記)

 北陸新幹線・敦賀−金沢間の柿原トンネルで,施工中に切羽崩壊が発生し地表が陥没した。2017年9月8日(金)午前5時45分頃であった。
 幸い,地表の柿原グラウンドでも坑内でも被災者は出なかった。(参考図書1)

 トンネルの掘削断面は,高さ 8.4m,幅 9.5mで,陥没地点の土かぶりは約14mであった。陥没孔の規模は,直径約15m,最大深さ約8mである。
 鉄道・運輸機構の写真を見ると,陥没孔の右側に線状の凹地が見え,金沢側の天端が緩んでいることが予想される。トンネル掘削の土砂崩壊も地表の陥没も9月8日時点で止まっている。
 報道では「掘削されたトンネル壁面が崩壊」となっている。切羽が崩壊したのか側壁から崩壊したのか不明である。(参考図書4)

 日経コンストラクションによれば,トンネル掘削は,北の金沢方坑口から850mほど南に設けた斜坑から南北両方向に進めていた。崩壊箇所は,北(金沢方)に向けて掘っていた工区で,切羽から約30m後方の場所である。鋼製支保工を建て込み吹付けコンクリートも施工済みだったという。(参考図書3)

 この付近は,第四紀・後期更新世の中位段丘堆積物(砂:海成段丘アトラスでは<mT5c=10万年前>)が広く分布していて,標高40m弱の丘陵地である。
 

 掘削工法は標準工法(NATM工法)とされているが,どのような補助工法を行っていたのかは現段階では不明である。

 なお,陥没地点の緯度・経度は,おおよそ次のとおりである。
 < 北緯36度14分25.24秒,東経136度14分36.96秒 >


図1 柿原トンネル.jpg
図1  柿原トンネル(地理院地図に加筆)
 柿原トンネルの陥没現場は,北陸本線・細呂木駅の西,約1.3km の位置にあり,送電線のすぐ近くである。標高37.3mの三角点が近くにある。丘陵を抜けた敦賀方には,水田などのある標高30mほどの低地がある。

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参考にした図書など