小天狗岳
(山行:2016年6月219日 記事作成:2016年7月6日)
概 要
札幌の西の山地は火山岩地帯で,手稲山に見られるように「平坦溶岩」(あるいは平坦面溶岩)と呼ばれる台地状の尾根をつくる溶岩で構成されいる山が多い.
これに対して,八剣山(デイサイト),神威岳(安山岩),小天狗岳(安山岩),定山渓天狗岳(ハイアロクラスタイト)などは,鋭い岩峰を形成している.
小天狗岳は豊平川支流小樽内川に建設された定山渓ダムの右岸にそびえる岩山で,標高は765mである.登山口である定山渓ダム下流園地の標高が約350mであるから登山高度は415mということになる.
図1 定山渓ダム湖左岸から見た小天狗岳
奥の平らな山頂が小天狗岳である.左の三角の山は,小天狗岳から東北東に延びる尾根で岩峰が幾つか並んでいる.
図2 小天狗岳尾根の岩峰
小天狗岳から東北東に延びる尾根に見られる岩峰である.5万分の1地質図幅「定山渓』では天狗岳集塊岩層となっている.
定山渓ダムコース
定山渓ダム下流園地の上にある定山渓ダム資料館の左手に登山口がある.登山道は,一度沢に降りて沢の右岸斜面を登っていく.
標高450m付近までは,酸性凝灰岩が分布しているようである.黄白色のシルト質凝灰岩である.
標高470mのジグザグが始まる付近からは,登山道に出てくる石は安山岩となる.
標高580m付近で登山道脇に巨岩が出てくる.東北東に延びる尾根に見られる岩峰の延長線上だとするとN55°E方向で岩峰が並んでいることになる.
図3 標高440m付近の凝灰岩転石
登山道脇に見られる凝灰岩礫.
図4 標高580m付近の安山岩露頭
黒色で斜長石斑晶の目立つ硬質な輝石安山岩である.節理に規則性はなく,強いて言えば方状節理である.
図5 標高700m付近の安山岩露頭
登山道脇の露頭で一見角礫岩のように見える.
図6 小天狗岳頂上の安山岩
方状節理を持つ安山岩で流理構造を示す部分がある.この時期は,木々に遮られて頂上からの眺望はきかない.
図7 小天狗岳頂上の安山岩
最大径4mm程の斜長石と少量の輝石の斑晶とガラス質の石基とからなる黒色の安山岩である.この写真は中央部付近しか焦点が合っていない.
図8 頂上直下から見た無意根山
木々の間から辛うじて無意根山が見えた.スプーンで抉られたような斜面が印象的である.
図9 八剣山
左の露岩した山頂が八剣山である.デイサイトが貫入してできた山である.
図10 烏帽子岳と神威岳
対岸にそびえる露岩した山頂を持つ山で,左が烏帽子岳,右が神威岳である.
参考にした図書など
- 土居繁雄,1953,5万分の1地質図幅「定山渓」および説明書.北海道開発庁.
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