徳舜瞥山
(2020年7月31日山行:2020年8月3日作成)
概 要
徳舜瞥山とホロホロ山は,第四紀後期更新世(13万年前〜1万2千年前)の火山である.この時代の火山は,徳舜瞥山を南東端として羊蹄山,ニセコのチセヌプリまで南東−北西方向に配列している(地質図Navi による).ただし,羊蹄山は6,000年前〜10,000年前にマグマ噴火した活火山である.
徳舜瞥山の南斜面は,徳舜瞥川に向かって滑動した巨大地すべりが二つあり,ホロホロ山の東斜面は,白老川支流のトドマツ川に向かう巨大地すべりがある.周辺は巨大地すべりが密集している地帯である.地すべり多発の地質的要因としては,火山噴火に伴う変質作用により地山が軟質になっていることが挙げられる.周辺には,徳舜瞥鉱山(Fe:褐鉄鉱),大滝鉱山(Fe:褐鉄鉱),白老硫黄鉱山(S:硫黄)などがあった.徳舜瞥山登山口付近に鉱山のズリが残っていて硫化水素臭(いわゆる硫黄の臭い)がする.
登山道の地質
登山道入口は標高680m付近にあり,舗装された車道の行き止まりに駐車場がある.紫明川源流の沢を登っていき途中から尾根に上がる.標高1050m付近からの急な部分は,つづら折りとなるのでそれほど苦しくはない.頂上からは,ほぼ360度の眺望が得られる.徳舜瞥山の東にあるホロホロ山へは片道30分が標準時間であるが,80mほど下って登り返すことになる.
図1 徳舜瞥山登山道(TrailNote で作成)
駐車場から,おそらく旧作業道と思われる転石だらけの道を登っていく.途中で紫明川上流の沢を渡り尾根に取り付く.標高1050m付近から急斜面になりジグザグを繰り返して頂上に達する.
写真1 徳舜瞥山
登山道手前の駐車場から見た徳舜瞥山である.きれいな三角錐の姿が美しい.ここからは,ホロホロ山は見えない.
写真2 紫明川上流を渡る
標高710m付近で紫明川の上流を横断する.この付近では水は伏流していて沢に水は流れていない.昔,上流から水を引いたと思われるホースの残骸がある.
写真3 輝石安山岩
山頂から北西に延びる尾根の麓付近の安山岩である.白濁した斜長石と黒色の輝石が見られる.基質はガラス質である.5万分の1地質図幅「徳舜瞥」では徳舜瞥溶岩(両輝石安山岩)としている.
写真4 六合目の湧水
沢から尾根に登って行く標高810m付近の登山道の脇にある.水量は豊富で冷たい.金のコップが置いてある.
写真5 土石流
比較的新しい土石流である.沢から尾根に登っていく標高815m付近の登山道を埋めている.
写真6 赤色酸化した安山岩
急登が始まる付近で見られる安山岩である.弱く赤色酸化している.板状に割れているものが多い.
写真7 赤色酸化安山岩
斜長石,輝石の他に黒色の岩片が含まれる.かなり脆い.標高1030m付近である.
写真8 オトギリソウ
標高1085m付近の岩の割れ目に咲いているオトギリソウである.
写真9 羊蹄山と尻別岳
標高1160m付近から眺望が開けてくる.手前に尻別岳,遠方に頭を雲に隠した羊蹄山が望める.
写真10 ホロホロ山
徳舜瞥山頂上から見たホロホロ山である.中央がホロホロ山で,右はホロホロ山の南東にある1260m峰である.図幅では徳舜瞥溶岩とは別のホロホロ溶岩の分布域となっている.徳舜瞥溶岩は板状節理が明瞭であるのに対し,ホロホロ溶岩は方状節理が卓越しているようである.
手前の鞍部の高まり部分に,はっきりとした円弧状の小規模な地すべり頭部の凹地が見える.その右側斜面は大規模な地すべりの頭部滑落崖である.
写真11 山頂の安山岩
白色の斜長石と黒色の輝石からなる安山岩である.
写真12 山頂の板状安山岩
山頂の安山岩は板状節理が発達し,西(右)に20゚ほどで傾斜している.左は大規模地すべりの滑落崖である.
山頂のハイマツに混じってフランスギク(いわゆるマーガレット)が白い花を咲かせている.
写真13 ハイマツ帯
標高1260m付近の北斜面にはハイマツ帯が広がる.山麓の段丘(徳舜瞥砂礫層)には牧草地が広がっている.