砂子炭鉱

 (2022年11月15日)

 幾春別川の支流、奔別ぽんべつ川の北の尾根付近に砂子すなご炭鉱の露天掘りがある。
 北は空知川の南岸から南は鵡川の支流・穂別川までの地域が石狩炭田とよばれていた。東西30km、南北約85kmの範囲である。砂子炭鉱は石狩炭田のほぼ中央に位置している。


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図1 砂子炭鉱の位置(地理院地図に加筆)
 砂子炭鉱が現在採掘している場所は、峰延山地の三笠山の東北東に延びる尾根の南斜面である。石狩炭田は、峰延山地を境に南側が夕張地域(夕張炭田)、北側が空知地域(空知炭田)と呼ばれている。


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図2 砂子炭鉱の位置(地理院地図)
 峰延山地の南斜面で露天掘りが行われている。石炭を含む地層は、東北東―西南西の走行で北に約30度で傾斜している。この地図でもわかるとおり、切土のり面の高さは最大160mに達する。東北東側の斜面は採掘を終わっていて西南西側の斜面が最後の採掘を行っている。


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図3 掘削のり面
 幾春別層の石炭を含む泥岩優勢砂岩泥岩互層である。一番西側の掘削のり面である。のりの直高は160mほどである。黒く見えるのが泥岩あるいは石炭で、白っぽく見えるのは砂岩層である。ここでの地層の大まかな走向・傾斜は、N70°W,20°NWである。


図4 「層間褶曲」.jpg
図4 「層間褶曲」
 画面中央付近の二つの層が弱く褶曲している。どのようにしてできたのかは不明である。


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図5 変形している泥岩と酸性凝灰岩
 泥岩が千枚岩状になっている。白色の薄層はスメクタイト化した火山灰である。上のほうに見える厚い白色の層は砂岩である。

二酸化炭素固定実験

 この地域では、二酸化炭素固定実験のボーリングが幾春別川右岸で行われている。このボーリングでは幌内ぽろない層と幾春別層の境界を抜いて幾春別層の五番炭層の払い跡(石炭を掘削してズリを充填した坑道)を確認した。
 二酸化炭素(CO2)は石炭に吸着しやすく、石炭中の割れ目などに貯留されているメタン(CH4)を追い出す。二酸化炭素は吸着されメタンが回収される。


図6 CO2炭層固定化技術開発の概念図.jpg
図6 CO炭層固定化技術開発の概念図
(小牧博信、2 .二 酸 化 炭 素 炭 層 固 定 化 技 術 開 発 の 概 要 に つ い て
( http://www.kanso.co.jp:2022年11月15日閲覧 )
 火力発電所などで発生した二酸化炭素を石炭層に圧入し、石炭層中のメタンを追い出して回収する。

最後に

 今回は、日本応用地質学会・土木地質研究部会の「令和4年度現地見学会」に特別に参加させて頂いた。佐々木靖人部会長ほか関係者の方々に深く感謝いたします。

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