地質の日と土木の日−そしてライマン展

(2008年5月25日作成)

 世の中には様々な記念の日がある.5月10日は地質の日である.

 地質の日はライマンが作成した北海道の地質図が発行された1876(明治9)年5月10日,内務省地理局地質課(現在の独立行政法人 産業技術総合研究所 地質調査センター:GSJ)が,地質調査を扱う組織として定められた1878(明治11)年5月10日にちなんで地質関連の学会・協会などが2007年3月13日に定めたものである(http://www.geosociety.jp/ による).

 土木の日は11月18日である.土木学会の前身である「工学会」が1879(明治12)年11月18日に創立されたこと,「土木」と言う字を分解すると十一と十八になることから1987年11月に制定された.
 発足時の工学会は,旧工部大学校の土木、電気、機械、造家、化学、鉱山、冶金の7学科第1期卒業生23名が相互の親睦、知識の交換を目的とて創立されたが,会員が増加したため専門分野別独立団体を作りたいという気運が高まり,1922(大正11)年に土木学会など12団体を会員とする団体会員組織となり,現在は(社)日本工学会として99団体の会員を擁する組織として活動している(http://www.jfes.or.jp/index.html による).

 地質学会は,今年(2008年)初めて地質の日の様々な行事を行った.

 北海道支部では,北大総合博物館で「ライマン展」を6月1日(日)まで開催している.
 ライマンはアメリカ出身の地質学者(鉱山技師)で,1873(明治6)年6月1日に来日し1875(明治8)年までの3年間で北海道の地質調査を行い,1876(明治9)年に日本で最初の総合的な地質図である「日本蝦夷地質要略之図」を発行している.

 当時の北海道は,1873(明治6)年6月に函館から札幌豊平橋までの札幌本道(現在の国道36号)がようやく開通した程度で,馬車の通れる道路はほとんど無かった.そのような中で,北海道全体を踏査し地質図を作り上げた力量は並大抵のものではない.
 さらに,ライマンとその弟子は,茅沼炭礦や幌内炭礦などの詳細な地質図を作成し採掘可能な石炭量を算出している.この作業では,5,000分の1の地形図を作成するところから初めて,炭層を追跡し等深線図を描いている.

 ライマンたちの作成した茅沼炭礦と幌内炭礦の地質図は,ライマン展で展示されている.


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