claygrain1.jpg

図3 スメクタイト粒子の大きさ

 スメクタイトは透過電子顕微鏡(TEM)で見ても皮膜状であることが
多くはっきりした形態が観察できないほど小さい.このため,スメク
タイトは粒子間にも水をためやすい性質を持っている.


←“膨張性地山”へ戻る

粘土鉱物が水中に浮遊するわけ

 粘土鉱物は層状構造をしていて,層の表面には一般に酸素イオン(-)
が並んでいるため粒子の表面はマイナスに荷電している.
このため,水の中ではプラス帯電した水の水素イオンが粘土粒子の
表面に集まってきて,電気二重層を形成する.このため,淡水中で
は粘土粒子同士はなかなか凝集しにくい.

クイッククレーの形成

 氷河湖の水がいろいろな色を示すのは,氷河で運ばれた粘土サイ
ズの微細粒子が凝集せずに水中に浮かんでいるためである.
 これに対し,氷河期に氷床周辺の海底に堆積した粘土粒子では,
塩分濃度が高いため電気二重層が薄くなり(実験的に確かめられて
いる)粒子同士が接近しやすくなる.このため,トランプのカード
を組み合わせたような不安定な「カードハウス構造」が形成される.

 このような堆積物が氷河期が終わり氷の荷重がなくなって上昇し陸
上に現れると,粘土粒子間の塩分の濃い古海水が抜けて,粒子が凝集
しにくい淡水中と同じ条件になる.このようにして形成されたのが
鋭敏比が異常に大きい「クイッククレー」である.


←“膨張性地山”へ戻る

←“トップ”へ戻る