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気候の変動と大地の変動

 (2017年1月1日作成)

 その原因については色々論争がありますが,気候変動の振幅が大きくなっていることは生活の中で感じることです.

 2016(平成28)年8月には,北海道・日高地方などで豪雨災害が発生しました.これまで経験したことがないような量の雨が降りました.この時の河川氾濫の写真を見ると,川が本来の流路を取り戻そうとしているように見えます.
 北海道開発局の水防災対策検討委員会は,「気候変動を前提とした治水対策を講ずべきだ」とする報告書の骨子を2016年12月27日にまとめ,2016年度内に最終報告をまとめると言います(2016年12月31日朝日新聞朝刊).

 同じく12月には札幌などで50年ぶりという大雪が降りました.これほどの雪が12月に降り,厚い雪に覆われた正月は記憶にありません.
 このような気候変動の変化についての原因は,温室効果ガスによる温暖化の影響であるという考えや自然要因による変動であるという考えなどがありますが,気候変動の振幅が大きくなっていること,局地集中的に雨が降ったり竜巻が発生しやすくなっていることなど,これまでと違った気候になってきていると感じますし,そのようなデータも出されています.

 土木學會誌の2017年1月号は,「気候変動への適応の時代」と題して特集を組んでいます.
 公共事業の土木工事では,「緩和策」の一つとして,工事中にどれだけ二酸化炭素の排出を減らせるか努力しています.この特集では,「適応策」についての最新の知見,政策的取り組み,具体的なプロジェクトを紹介しています.
 基調論説は,「気候変動への適応策をめぐる国際的な動向」と題して沖 大幹氏(東大生産技術研究所 教授)が書いています.
 三村信男氏(茨城大学学長)と林良嗣氏(中部大学総合工学研究所 教授)による対談は,土木が気候変動にどう対応すべきかを理解する要点を分かりやすく述べています.

 2011(平成23)年3月11日の東北地方太平洋沖地震以来,日本列島は地震活動が非常に活発な時代に入っていると言って良いでしょう.
 2014(平成26)年11月22日に「長野県神城断層地震」,2016年4月16日には熊本地震が発生しています,これらは既知の活断層が動いた地震です.
 石橋克彦氏の「大地動乱の時代」(岩波新書)が出版されたのは1994年です.その翌年に兵庫県南部地震が発生しています.

 特に,2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震以来,地震学者達の発言が多くなっています.2016年12月には,遠田晋次(とおだ・しんじ)「活断層地震はどこまで予測できるか 日本列島で今起きていること」(ブルーバックス,講談社)が出版されています.昨年の熊本地震についても述べられています.


図1 活断層はどこまで予測できるか.jpg
遠田晋次,活断層はどこまで予測できるか 日本列島で今起きていること
2016年12月に発行されたブルーバックスです.

 このように,気候も大地も変動期に入っていると考え,本気で対策を考える時代に入っていることを実感します.

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