『文化地質学とは,人類の文化・文明が地質とどのように関わってきたかを研究する学問分野である。』(鈴木ほか,2016,88p)
これが,もっとも端的に文化地質学を説明したものであろう。
講演題目 | 講演者 |
文化地質学(T2-O-1) | 鈴木寿志 |
人・社会の営みと花崗岩(T2-O-2) | 長 秋雄 |
鬼ノ城の石材利用(T2-O-3) | |
瀬戸内海沿岸の花崗岩石材産地における多様な歴史と現状(T2-O-4) | 乾 睦子 |
六甲花崗岩と玄武洞玄武岩における石材の利用と災害文化(T2-O-5) | 先山 徹・松原典孝 |
人の営みから身近な自然景観を俯瞰する:丹沢・秦野の戸川砥(とかわ・と)を例として(T2-O-6) | 田口公則・門田真人 |
石灰岩石細工と江戸〜明治期の本邦産紡錘虫類記載(T2-O-7) | 一田昌宏 |
地質学の目で見た京文化(T2-O-8) | 原田憲一 |
西アジアの地質・自然環境と人類史(T2-O-9) | 安間 了 |
鹿児島の文化地質学(T2-P-1) | 中村若菜・鈴木寿志 |
東日本を席巻した宮城県石巻産石碑石材「井内石(いない・いし)《の地質学・岩石学的特徴と利用状況(T2-P-2) | 高橋直樹・赤司卓也 |
講演題目 | 講演者 |
文化地質学:オーストリーと日本での進展(T2-O-1) | 鈴木寿志・石橋弘明 |
首都圏の歴史的建築物を手掛かりにした美祢大理石産業の歴史の解明(T2-O-2) | 乾 睦子 |
日本の歴史的重要建造物における徳島県産大理石の使用とその意義(T2-O-3) | 石田啓祐・早淵隆人・中尾賢一・東明省三 |
新治花崗岩と新治台地に残る石造文化財(T2-O-4) | 長 秋雄 |
文化と日本列島のジオ多様性(T2-O-5) | 尾池和夫 |
山形城坤櫓遺構の等高線図と栗石の礫種組成(T2-O-6) | |
福岡城上之橋御門石垣石材の岩石記載とその産地についての考察(T2-O-7) | 宮本知治・中村啓太郎・星野恵美・島田允堯 |
花崗岩質石造物の産地同定における帯磁率の有効性(T2-O-8) | 先山 徹 |
亀島山地下壕の断層と風化(T2-O-9) | 能美洋介・久木一磨・中西健太 |
スレイマニヤ博物館所蔵のメソポタミア粘土板胎土の組成 (T2-O-10) | |
森 康・佐藤浩司・坪根伸也・稗田智美・今塩屋毅行・龍 孝明・小田裕樹 | |
土佐清水市竜串海底の石柱群の歴史地震考古学的意義 (T2-O-12) | 谷川 亘・山本裕二・浦本豪一郎・濱田洋平・井尻 暁・星野辰彦・若木重行・村山雅史・廣瀬丈洋・林原利明・徳山英一 |
千葉県房総半島にみられる特定の凝灰岩単層のみを石材として利用した石蔵(T2-P-1) | 高橋直樹・赤司卓也・椎熊邦廣・織本潤一 |
講演題目 | 講演者 |
明治末期から昭和初期までの近代建築物に用いられた国産建築石材の多様性について(T7-O-1) | 乾 睦子 |
福岡城上之橋御門石垣石材に使用された花崗岩石材の鉱物組成とその産出地特定の制約(T7-O-2) | 宮本知治・島田和彦・中村啓太郎・星野惠美・島田允堯 |
高知県爪白海底石柱群の元素分析データを用いた多変量解析による石材産地の特定(T7-O-3) | 谷川 亘・濱田洋平・浦本豪一郎・山本 裕二・村山雅史・多田井 修・廣瀬丈洋・尾嵜大真・米田 穣・ 徳山英一 |
地質文学(T7-O-4) | 鈴木寿志・田口公則 |
地質の詩学−ゲーテ、ヘルダーリン、ノヴァーリス(T7-O-5) | 廣川智貴 |
宮沢賢治における白堊紀砂岩の問題(T7-O-6) | 鈴木健司 |
地貌と地質から見た文学と地質学(T7-O-7) | 加藤碵一 |
歴史的建造物の石材と地域地質の見学を有機的に結合させた文理融合型の文化・地質巡検の実施:−日本地質学会北海道支 部・「地質の日《関連イベント:市民地質巡検「ぶらり 小樽の地質と軟石建造物《実施報告−(T7-O-8) | 松田義章・仁科健二・大鐘卓哉・高見雅三・竹内勝治・菅原慶郎・松枝大治 |
和歌山県串本町の「橋杭岩《伝説について〜文化地質学の視点から〜(T7-O-9) | 石橋弘明 |
小豆島山岳霊場の行場の地形学・地質学的特徴について(T7-O-10) | 川村 教一 |
古事記を地学で読み解く(その2) (T7-O-11) | 長 秋雄 |
『おくのほそ道』の地質学(T7-O-12) | 蟹澤聰史 |
山形城巽櫓,坤櫓の流紋岩,デイサイト石垣石材の岩石記載(T7-P-1) | 大友幸子 |
これらのうち,2014年と2015年の成果を17編にまとめたのが,『号外地球 文化地質学』である。この論文集では,『第1部 日本人の石材利用』と『第2部 信仰と生活の中の地質学』に分けて,巻頭言を含めて18の論文が収録されている。
地学団体研究会の第71回総会(旭川)では,8月27日の午前に普及シンポジウム「私たちの生活と大地−文化地質学のススメ−《が開かれる
( https://sites.google.com/view/soukai2017/ホーム )。
文化地質学はオーストリア発祥の学問で,日本へは2003年に鈴木寿志によって紹介された(鈴木,2003)。
国内では,2007年頃からジオパーク運動が始まった。
ジオパークでは,第一に
『地域の地史や地質現象がよくわかる地質遺産を多数含むだけでなく、考古学的・生態学的もしくは文化的な価値のあるサイトも含む、明瞭に境界を定められた地域である。』
( http://jgc.geopark.jp/whatsgeopark/index.html )
としている。
つまり,ジオパーク運動を展開するためには,人と地質の関わりを実感できるサイトを設けることが重要な条件となっている。
今後ますます,人と地質の関わりに注目した様々な議論が進んで,大地に対する理解が深まっていくことが期待される。
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