構造物のコンクリート強度測定方法は,直径100mm の供試体を作成し一軸圧縮強度試験を実施する方法(JIS A 1108:2006),テストハンマーによる方法(JSCE-G 504-2007) が広く使われている.
これら試験の他に,微破壊・非破壊試験が提案され測定要領案が公表されている.土木研究所 HP の研究成果・技術情報に,「テストハンマーによる強度推定調査の6つのポイント」と共に微破壊・非破壊試験方法が掲載されている(http://www.pwri.go.jp/jpn/seika/conc-kyoudo/conc-kyoudo.html).
微破壊試験としては,ボス供試体による方法・小口径コア試験による方法があり,非破壊試験としては弾性波速度測定による方法がある.
ボス供試体(Broken Off by Splitting)と言うのは,コンクリート打設時に型枠に直方体の型枠(ボス型枠)を付けておいて,コンクリートが固まったらそれを外して供試体とするものである.
ボス型枠の大きさは粗骨材の最大寸法にあわせて3種類から選ぶ.
2)「小口径コア試験による新設の構造体コンクリートの強度測定」 は,直径25mm(長さ50mm)のコアを採取して一軸圧縮試験を実施する.この試験値を換算式で補正して構造体コンクリートの圧縮強度を求める.
超音波試験(土研法)による強度測定
衝撃弾性波試験 iTECS による強度測定
衝撃弾性波試験表面2点法による強度測定
1)「超音波試験(土研法)による新設の構造体コンクリート強度測定」 は,コンクリート打設時に供試体を作成しておき,この供試体の超音波伝播速度と一軸圧縮強度を求めておく.構造体の超音波を測定し関係式から一軸圧縮強度を決定する.
供試体は水中養生し,補正式で封かん養生のコンクリート強度を算出する.また,構造体の超音波測定時には超音波発振子と受振子の間隔を変えて速度が一定になった間隔での速度値を使用する.
つまり,構造体表面で屈折法弾性波探査を行うと言うことで,弾性波探査の基盤岩速度に相当する速度値が求めるコンクリートの超音波速度である.
2)「衝撃弾性波試験 iTECS法による新設の構造体コンクリート強度測定」 は,厚さの分かっている構造体に対して適用可能な方法で,片面で与えた弾性波が反対面で反射してくる時間から弾性波速度を測定(反射法)し,同時に両端面で反射する波の最大振幅となる周波数を記録して関係式から弾性波速度を求める.
この方法でも,供試体による弾性波速度と一軸圧縮強度の関係を求めておく.
3)「衝撃弾性波試験表面2点法による新設の構造体コンクリート強度測定」 は,間隔30cm に固定された二つの振動検出器を構造体に接触させハンマーで弾性波を発生させて二つの振動検出器の弾性波到達時間から構造体の弾性波速度を求める.
この弾性波速度はコンクリート表面の速度であるので補正式で構造体内部の弾性波速度を求める.この方法も弾性波速度と一軸圧縮強度の関係式(検量線)を作成しておく.この検量線作成時の弾性波速度の測定は反射法で行う.
それぞれの詳細な方法は土木研究所のHP に載っている.
また,それぞれの方法は共同研究として開発されたもので,「ボス供試体」,「小径コア」,「衝撃弾性波」などでウェブ検索するといろいろな情報が得られる.
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