当丸山
(2018年8月12日山行:2018年8月14日作成)
概 要
当丸山は,積丹半島・東海岸の古平町と西海岸・神恵内村を結ぶ道道古平神恵内線のトーマル峠の南南東にある標高800mの山である.登山口が標高600mであるから,30分ほどで頂上に達することが出来る.
当丸山から南西に延びる尾根の北側に大規模地すべりがある.
当丸山直下を頭部とするブロックは,奥行き2.9km,幅0.7km,その下流にあり道道の大雪崩橋付近を頭部とするブロックは奥行き2.0km,幅1.0kmである.
当丸峠付近は,下位に石英安山岩質の水冷破砕岩・火山円礫岩・塊状溶岩からなる中新世・古平川層の火砕岩部層があり,当丸峠や当丸山から南西に延びる尾根には,かんらん石を含む輝石安山岩の更新世・当丸山溶岩が分布している.
古平川層・火砕岩部層は,道道古平神恵内線の大雪崩橋山側にある旧道の切土で見ることが出来る.当丸山溶岩のはっきりした露頭は少ないが,当丸山から当丸沼へ降りて行く滑落崖の登山道で転石として見ることが出来る.
駐車場から当丸山へ
古平から道々を登って行くと覆道の連続となる.三つ目の長い覆道が当丸峠覆道で,その途中に「交差点」という標識がある.この交差点を左に曲がると覆道の外に出て当丸山の遊歩道と両古美山登山口のある駐車場に行くことができる.
三つ目の覆道は,覆道,六志内トンネル,トーマル峠覆道の三つが連続したものである.
当丸山への登山道は,山頂北側の尾根を登って行く道と当丸沼から大規模地すべりの滑落崖を登って行く道人があり,周回することが出来る.
今回は,北側の尾根を登って頂上へ行き,当丸沼,小沼を巡って駐車場に戻るというコースを選んだ.
写真1 登山口への出口
当丸覆道の途中にある登山口への出口である.古平側から行くと下りになってから少し行った左側である.「交差点」という電光標識があるので分かりやすい.
写真2 両古美山登山道入口
覆道を出て舗装道路を突き当たりまで行くと駐車場とトイレの付いた小屋がある.その脇の階段を降りて覆道の上を通って両古美山へ登って行く.
この日は霧が出ていて晴れそうになかったので,両古美山へ登るのはやめて当丸山へ行くことにした.
写真3 当丸山と当丸沼の分岐
左が尾根伝いに当丸山山頂へ行く道で,右は大規模地すべりの頭部凹地を通って当丸沼へ行く道である.登山道は伐開されているが,両側はクマザサで見通しはきかない.クマの糞は見られなかった.
写真4 当丸山山頂の安山岩
当丸山山頂は,なだらかで周りはクマザサである.山頂の転石は,輝石安山岩である.
写真5 板状の安山岩
当丸山から当丸沼へ下りる登山道の標高680m付近の転石である.板状の輝石安山岩である.
写真6 当丸沼
大規模地すべり頭部の凹地に出来た沼で,面積は約7,300m2である.沼の南端からトーマル川が流れ出ている.スイレンが咲いていた.
写真7 小沼
標高595m付近にある林に囲まれた静かな沼である.道道までは直線距離で180mほどである.
写真8 両古美山
両古美山の尾根である,手前看板の真っ直ぐ向こうのちょっと高くなったところが両古美山(標高806m)の山頂である.右手の山頂は743mの山である.この写真に写っている両古美山周辺は,石英斑岩の貫入岩である.
写真9 デイサイト質ハイアロクラスタイト
大雪崩橋付近の旧道切土に出ているデイサイト質ハイアロクラスタイトである.礫も基質も全く同質である.
写真10 当丸峠の大規模地すべり
右手の橋が大雪崩橋で,下流側ブロックの滑落崖は,この橋の背後の急斜面である.奥に当丸山の山頂がわずかに見えている.