6.3 坑口の地すべり・崩壊地形

 トンネル坑口の最大の問題点は,地すべり地形やトンネルを破壊するような大規模な崩壊(岩石崩壊,岩盤崩落)があるかどうかである.地すべりにより坑口が崩壊した例は多い.
 有名なものとしては,JR飯山線高場山トンネル(新潟県小千谷市)の地すべりによる崩壊,国道231号線雄冬岬トンネル(北海道増毛町)の大規模地すべりによる崩壊がある.

参考文献

 山田剛二,小橋澄治,草野国重,1981,高場山トンネルの地すべ   りによる崩壊.地すべり,Vol.8,No.1,11-24.
 鍛冶鐵夫,杉村要,佐川修二,1984,大規模地すべりで崩壊した   トンネルの復旧 一般国道231号雄冬トンネル.トンネルと地    下,Vol.15,Mo.6,7-9
  


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坑口地すべりは避ける

 坑口の地すべりについては基本的には避けることになる.
 トンネル調査では概略設計でトンネル位置を決定するので,調査としては路線選定のための調査(概略調査)の段階で坑口に影響を与えるような地すべりや大規模崩壊があるかどうかの判断を行う必要がある.しかし,実際にはこの段階では広い範囲の踏査が主体となるので,坑口の地すべり地形等を見逃すことも多い.
 第一次および第二次調査,特に第一次調査の重要性は非常に高い.トンネル調査の流れの中で言えば,「選定路線の概略設計のための調査」の段階が重要である.
 ある程度地すべり地形を見慣れた技術者であれば地すべり地形を見落とすことはない.地形図判読では,山側に凸の遷急線とその下部の谷側に凸の緩斜面と遷急線が典型的な地すべりの地形である.地すべりは道路あるいはトンネル周辺だけに着目していては全体像を把握できない.トンネルに関わってくる斜面の尾根から沢までの全体を踏査する必要がある.尾根を越えた位置に地すべり頭部が発達していることもある.

岩盤地すべりまたは風化岩地すべり

 問題となるのは落ち残りの尾根と岩石崩壊あるいは岩盤崩落である.落ち残りの尾根とは両側に谷地形が発達したやせ尾根で,周辺が落ちたのに対し残って不安定となっている地形である.このような尾根でボーリングを行うと土砂状のコアが採取され崖錐堆積物と判定しやすい.大抵の場合,このような尾根では地下水位がほとんど認められない.風化岩すべりの萌芽形態であり,ある深度に不連続な弱面が形成されているのが特徴である.

 岩盤地すべりでは,側部に発達する沢で地すべり移動岩盤の構造を見ることができる場合がある.周囲の岩盤とは構造が明らかに異なり,破砕されすべり面に平行な粘土脈が見られ,すべり面粘土を見ることもできる.静岡県や山梨県などのように最近の隆起運動が活発な地域でいくつか見ている.

   このような地すべりの判定方法として藤田(1990)は次のような地形的特徴と留意点を挙げている.


a) 斜面に斜交した左右非対称の直線状の小さい沢が存在する.
b) 背後の斜面と遷急線で境される旧地すべり跡地と考えられる凸状台地状地形が存在する.
c) 凸状地形の両サイドに表層崩壊が存在する.

 ただし,このタイプの地すべりを地形のみから判定することは難しく,崩壊事例の収集が必要である.


rockslide002.jpg
図6.3.1 風化岩地すべりの特徴概念図
(1) 斜面に直交した非対称の沢は,地すべりブロック側で崩壊が進行しやすいので,地すべり側の渓岸が緩斜面となりやすい.
(2) 背後に急斜面が形成され,その下に遷急線があり緩斜面が形成される.急斜面は斜面上方に凸の等高線となるのに対し,遷急線より下では斜面下方に凸になる.地すべりが比較的新しい場合には,緩斜面は逆傾斜の平坦面を残していることがある.
(3) 地すべり末端は上に凸の急斜面となる.これは地すべりが活動しかかっていわゆる”はらみだし” の状態になっているためである.
(4) 地すべり側の斜面には表層崩壊が見られ,その崩壊地を追跡すると地すべり頭部の遷緩線に至ることが多い.また,表層崩壊地の末端や沢の途中に湧水が見られることが多く,場合によっては噴出するように水が出ていることがある.

大規模風化岩地すべりの発生年代

 トンネルに直接関わる小規模の風化岩地すべりについての留意点は,上に述べたとおりあるが,小規模な風化岩すべりは大規模な岩盤すべりあるいは風化岩すべりの一部であることが多い.
 大規模な岩盤すべりは一般に最終氷期の海水面低下時に河川の下刻作用により急峻な斜面が形成され,斜面のバランスが崩れたことが原因で発生したとされている(例えば,藤田,1995).
 地すべり土塊中に含まれる木材を用いた14C年代測定によれば,地すべり発生が多い時期は2−3万年前と1万年以後である.
 2−3万年前は最終氷期のウィスコンシン氷期が始まった時期であり,海面低下により河川の下刻作用が活発になり斜面が不安定化した時期に当たる.
 1万年以後は後氷期になり水の循環が良くなって降水量や地下水が増大したことが斜面の不安定化をもたらしたと考えられている(.最終氷期の海水準低下は2万−1.8万年前に最大となり,低下量は−140m程度と考えられている(海津,1994).このような海面低下に伴って河川勾配が急になり下刻作用が激しくなって,急峻な斜面が形成され斜面が不安定化したと考えられる.

岩盤地すべりのすべり面性状

 このような時期に形成された岩盤すべりのすべり面はどのような性状を示しているのだろうか.この点に関しては渡(1996)が参考になる.

 すなわち,初期の段階では岩盤のゆるみ(Sackung)によるクリープが発生し,これが発展して一つの弱面に歪みが集中する「すべり」(Gleitung)となるとする考え方である.
 このザックングとグライトゥングを運動様式の違いとしてみると,ザックングでは地表に近い部分ほど運動速度が大きく地下に向かって小さくなるのに対し,グライトゥングではほぼ一様に移動土塊が運動する.
岩盤すべりがどの段階にあるかは頭部の陥没地形の発達程度,末端部の崩壊の有無等が目安となる.

 注意すべき点は,このような岩盤すべりではすべり面の下に,潜在すべり面が存在することが多いことで,トンネル掘削時に予想しない応力が作用したり,地山が予想より劣化していたりする.

 トンネル坑口の地形を判断する場合,地形からすべり面の発達がザックングからグライトゥングのどの段階にあるのかの判定ということになる.尾根状地形に遷緩線があり微妙な段差地形があり両側に凹地があるような規模の小さい風化岩すべりではほとんどがグライトゥングの段階と判断していいようである.特に,両側の沢状地形の最上部から湧水が見られる場合は,すべり面に粘土層が形成され遮水された地下水が湧出しているものと考えてよいだろう.基本的には,グライトゥングの段階の地すべりは土工により影響を受ける可能性が非常に高いと言える.

地すべり地形と周氷河地形

 中部日本から北の山岳地,東北北部から北海道の低山地には,周氷河地形が明瞭に残っている.この周氷河地形と風化岩地すべりが形態的に類似している.

 周氷河地形とは,地中水の凍結・融解の反復によって生じる凍結融解作用などの周氷河作用により形成された地形の総称である.このような周氷河作用が働く地域は,ほぼ年平均気温0℃以下の地域に一致する.現在の日本列島では周氷河限界は本州中部で標高約2,500?3,000m,東北地方で同じく2,000m,北海道では同1,500?2,000mである.したがって,近畿地方から南では現在,周氷河作用は働いていないと考えてよい.

 約7万年前から始まる最終氷期の後半(約3万年前から1万年前)の最寒冷期には,日本列島では年平均気温の等温線が現在よりも約1,500m低下した.この時期,周氷河地形の分布域は九州でも標高1,500m付近まで低下し,東北北部から北海道ではほぼ海水準まで周氷河地形が形成されたと考えられている.

 具体的な周氷河地形の特徴を,東北地方と北海道の例で挙げる.
 東北地方の例では,谷側に凹の等高線が形成され,一見崩積土地すべりのような地形となっているのに対し,北海道の例では,谷側に尾根状に突き出した地形と頭部陥没状の地形となっている.

表6.3.1 風化岩地すべりと周氷河環境で形成された地形の比較

事項風化岩地すべり北海道新得町山形県川樋
頭部地形頭部滑落崖は不明瞭なことが多いが,急斜面となだらかな斜面の組合わせとなる.場合によっては,頭部陥没と分離残丘がある.明瞭な頭部滑落崖に相当する急崖はない.頭部陥没と見ることが出来る凹地はあり,その前面に逆傾斜の分離残丘状のケルンバットがある.このケルンバットには巨礫が分布している.頭部滑落崖に類似した凍結破砕崖と見られる露岩帯がある.その上部には不明瞭な溝状凹地も認められ,崩壊頭部と見ることもできる.
中間部地形比較的一様な斜面となるが,いくつかの段差地形が認められることがある.上に凸の整一な斜面で段差地形は認められない.斜面には巨礫が分布していることがある.傾斜25-45°の直線状の弱い凹型を呈する.直径数十cmの角礫が多量に分布し,数mの礫も点在する.
末端部地形上に凸の斜面形を示し明瞭でない場合もあるが移動岩塊の形が認められる.末端は表層崩壊を起こしていることがあるが,下に凸の斜面で明瞭な境界がなく段丘面に漸移する.傾斜10°以下の平滑な斜面を形成する.表層には径数十cm?数mの礫が散在し,先端は泥炭地に没する.堆積物の層厚は薄い.
平面形馬蹄型,角形で側部に沢が発達していることが多い.馬蹄型で両側に沢が発達している.沢の上流では崩壊地が見られる.馬蹄形−角形であるが,周囲の斜面が広く発達する.沢は未発達である.
構成地質頭部付近は褐色化した亀裂の多い風化岩で末端では巨礫混じり砂質土であることが多い.花崗岩で風化は比較的深い.末端でも同じ様な地質状況である.中新世の凝灰岩−火山礫凝灰岩で軟岩主体.中腹に硬質な層がほぼ水平に分布する.
地下水状況などブロックの両側に発達した沢の上流で湧水していることが多いが,地すべりブロック内の地下水位は低い.両側の沢の上流では湧水しており地下水位は比較的浅い.斜面下方で少量の湧水があるが,全体に水量は少ない.下部の緩斜面では礫が多いため伏流する.

岩盤地すべりのすべり面性状

 このような時期に形成された岩盤地すべりのすべり面は,どのような性状を示しているのだろうか.この点に関しては渡(1996)が参考になる.
 すなわち,初期の段階では岩盤のゆるみ(ザックング:Sackung)によるクリープが発生し,これが発展して一つの弱面に歪みが集中する「すべり」(グライトゥング:Gleitung)となるとする考え方である.
 このザックングとグライトゥングを運動様式の違いとしてみると,ザックングでは地表に近い部分ほど運動速度が大きく地下に向かって小さくなるのに対し,グライトゥングではほぼ一様に移動土塊が運動する.岩盤すべりがどの段階にあるかは頭部の陥没地形の発達程度,末端部の崩壊の有無等が目安となる.
 注意すべき点は,このような岩盤地すべりではすべり面の下に,破砕帯とも言うべき潜在すべり面が存在することが多いことで,トンネル掘削時に予想しない応力が作用したり,地山が予想より劣化していたりする.

トンネル坑口の地形を判断する場合,地形からすべり面の発達がザックングからグライトゥングのどの段階にあるのかの判定ということになる.
 尾根状地形に遷緩線があり微妙な段差地形があり両側に凹地があるような規模の小さい風化岩すべりでは,ほとんどがグライトゥングの段階と判断していいようである.特に,両側の沢状地形の最上部から湧水が見られる場合は,すべり面に粘土層が形成され遮水された地下水が湧出しているものと考えてよいだろう.基本的には,グライトゥングの段階の地すべりは土工により影響を受ける斜面の安定度が低下する可能性が非常に高いと言える.

トンネルが地すべり土塊中を通過する場合

 基本的にはトンネル坑口を地すべり地内に設けることは避けるべきであるが,前後の取り合いから避けられない場合がある.
 その場合,調査段階で最も重要なのは,トンネル掘削前にトンネル外からのの地すべり対策が必要かどうかを判断することである.崩壊性地山や小規模な地すべりであれば,パイプルーフ工法や導坑先進坑法といったトンネルで一般的に行われている坑口対応で慎重に入って行けば何とかなり,工程的にも経済的にも有利である.
 しかし,地すべりは一度動かしてしまうと,とてつもない工費が必要となり,工期も遅れて大きな損失になる.地すべりの事前対策が必要かどうかの判断は,慎重に行う必要がある.

 トンネルと地すべりの関係はトンネルが地すべりの直近を通過する場合と地すべり土塊中を通過する場合とに分けられる.
 単純化すれば表6.3.1のようになるが,当然トンネル方向を地すべり移動方向が斜交している場合もある.

表6.3.2 トンネルと地すべりの関係

(1)トンネル方向と地すべり運動方向が並行の場合.
 (1.1)坑口が地すべり頭部付近に位置する.
 (1.2)坑口が地すべり末端付近に位置する.
(2)トンネル方向が地すべり運動方向と直交する場合.
 (2.1)トンネルが地すべり頭部付近を通過する.
 (2.2)トンネルが地すべり末端付近を通過する.

 トンネルの掘削幅は,一般の2車線トンネルでは約10mである.これに対して,トンネル坑口地すべりで問題となる地すべりの規模は,小さくても幅は50m程度はある.したがって,トンネル掘削によって地すべり移動土塊を除去しても地すべり全体ではそれほど大きな土量とはならないので,トンネル掘削による荷重の減少分を三次元的に見込まなければならない.そのために,考え出されたのが板垣の方法であり,ウィットマン-ラムの疑似三次元安定解析である.最近はホフランド法による三次元解析が用いられるようになっている.
 いずれにしても,トンネル坑口地すべりの安定解析では,地すべりブロックを三次元で捉えてその形態を把握する必要がある.


tunres630051.jpg
図6.3.2 トンネルと地すべり移動方向が並行な場合
 トンネルはすべり面を切るので,粘着力が0となる領域が生じるが,地すべり横断方向で見るとトンネル断面部のみであるので,地すべり横断面の面積とトンネル断面の面積の比を求めて,トンネルによって切られるすべり面長さを低減する.
 トンネル掘削による荷重の変化も断面積比によって低減する.このために地すべりの横断形(=三次元的形態)を把握する必要がある.安定計算式は次のようになる.

 Fs=[Σ(W’cosθ-U)tanφ+CΣL-CΣ(b/B)l]/[ΣW’sinθ]

ただし,
C:すべり面の粘着力(掘削前の値)
φ:すべり面の内部摩擦角(掘削前の値)
L:全体のすべり面の長さ
l:トンネルがすべり面を切る長さ
B:地すべり横断面でのすべり面の長さ
b:地すべり横断面でのトンネルがすべり面を切る長さ
W’:各スライスごとの重量(トンネル掘削による減少分考慮= h{(A-a)/A)})
h:主測線上での土被り高さ(掘削前)
θ:各スライスごとの重心直下のすべり面傾斜角
U:間隙水圧(トンネル掘削による水位低下は考慮しない)
Fs:安全率
 


tunres630061.jpg
図6.3.3 トンネルと地すべり移動方向が直交する場合
 この場合は,トンネル掘削により除去される地すべり土塊の土荷重をそのまま(面積配分で低減しないで)土荷重の減少として主測線上で計上する.
 また,トンネル掘削により除去された部分の上部の土荷重はその真下のすべり面に作用するとして計算する.
 トンネルがすべり面を切る部分の粘着力はないものとする.

  Fs=[Σ(W’cosθ-U)tanφ+cΣL-cΣl]/ [ΣW’sinθ]
 ただし,記号は上の式と同じ.


トンネルが地すべりの下を通過する場合

この場合の手順は次の通りである.
(1)トンネルが想定すべり面の下,2D以内にあるかどうか判定する.
(2)地すべりの危険度区分を行う.
(3)「危険度特A」の場合は,通常の地すべり対策工を行う.
(4)「危険度A」の場合は,ゆるみ範囲内にあるすべり面の土質定数を低減して安定計算を行う.ゆるみ範囲はトンネル壁面から45°+φ/2の角度で立ち上げた線とすべり面が交わる交点とする.この範囲の土質定数を低減する.

 安定計算式は次のとおりである.

Fs=[Σ(N-U)tanφ-Σ(N’-U’)tan(1-βφ)φ+cΣL-(1-βc)Σl]/ΣT

だだし,
Fs:計画安全率
N :分割片の重量による法線力
U :すべり面に作用する間隙水圧
  N’:ゆるみ範囲内にある地すべり面上にある分割片の重量による法線力
U’:ゆるみ範囲内にあるすべり面に作用する間隙水圧
L :すべり面全体のすべり面長
C :すべり面の粘着力
φ:すべり面の内部摩擦係数
βφ:φの低減率(土質により0.75-0.85とする)
βc:cの低減率(土質により0.4-0.6とする)

ゆるみ領域の考え方

 緩み領域のすべり面強度の低下率は次のように取り扱うことが当初提案された.
 すなわち,緩みによるすべり面強度の低減率(α)を0.3?0.4とする.この根拠は,緩み領域の弾性係数の低下率が岩盤等級によらずほぼ0.4であるというデータによる((社)日本トンネル技術協会,1981).この低減率を粘着力と内部摩擦角に配分する.
 内部摩擦角は一律に当初の値の3/4とし粘着力の低下率を計算により求める.

表6.3.3ゆるみ領域におけるCの低下率(C’/C0)
(奥園,1997,p18)

Φ10゜15゜20゜25゜30゜
α=0.30の時0.310.320.330.340.35
α=0.40の時0.420.430.440.450.46
注1)Φは,内部摩擦角
注2)α=C'/C0(C’:低減したすべり面の粘着力 C0:本来のすべり面の粘着力)

 一方,すべり面の下方には地すべり運動による歪みゾーンが形成されることが分かっているが,この歪みゾーンの厚さは0.1H(H=地すべり層厚)程度とされている.

 以上のようにして求めたゆるみ領域が地すべりの安定度をどの程度低下させるかの検討を行う.
 すなわち,すべり面とトンネル天端との距離は少なくとも10m必要で,これまでの地すべり地外でのトンネル施工による地すべり発生事例を見ると20m以上を確保するのがよい(板垣,1981,P41).
 なお,地すべり滑動方向と直交にトンネルを掘削した場合で,トンネル掘削による水位低下を見込んだモデルケースの安定計算では安全率が6%程度低下する場合があるとされている.

 以上のような検討を経て決定したのがトンネル周辺のゆるみ領域の扱い方である.

 トンネルの方から見た場合,NATM工法でトンネルを掘削した場合の緩み領域は,これまでの測定結果からはほぼ6m以下で,変位測定による緩み領域は0.6D程度とされている.トンネル補強工法や地質条件によってトンネル掘削で生ずる緩み領域を0.5D-1.0Dとする(奥園,1997).

tunres630071.jpg
図6.3.4 トンネル周辺の緩み領域の概念図(板垣,1981)
 トンネル天端からすべり面までの距離(h)が1D (トンネル掘削幅)以下の場合,すべり面の強度を低減する. 詳細は,「旧道路公団設計要領第1集」に掲載されている.


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